キスが教えてくれたもの♪
「それにわたし、もう少し頑張れば、杖使って歩けるようになるかもしれないし」
「えっ、ホント?!」
「うん。お母さんと月一病院に通っていた頃は、リハビリって言ってもマッサージしてもらったりとかだけだったの。
でも、今度の入院では腕のリハビリと一緒に足のリハビリも受けさせられて。
最初は力が入らなくって全然だったんだけど、少しずつ感覚が出てきたみたい。
作業療法士の先生も、頑張れば立てるようになるかもって言ってくれたし。
立てれば、杖を使って歩けるようになるかもしれない」
「凄いじゃない!」
わたしは興奮して声を上げすぎ、とっさに口を押さえた。
逸る気持ちを抑え、今度は声を潜めて由紀ちゃんに尋ねた。
「お兄さんやお父さんには話したの?」
「まだ秘密。立てるようになって驚かしてやるんだぁ」
ナルホド、素敵なサプライズだ。
「じゃあわたしも協力するね」
「うん!」
「なに二人で俺の悪口言ってんだぁ~」
由紀ちゃんとわたしがヒソヒソ話をしているのに気づいて山之辺が振り返った。
「女同士の内緒話です!」
わたしは怒った振りして必死に誤魔化した。
だって、山之辺には何よりのプレゼントだろうと思ったから。