キスが教えてくれたもの♪

家に着くと先ず、山之辺はクリスマスソングのCDをかけて場を盛り上げた。

三人で飾りつけた眩いばかりのクリスマスツリーを眺めながら、フライドチキンに手を伸ばす。

「由紀ちゃんはオレンジジュースでいい?」

炭酸が苦手な彼女だけ、飲み物が別なのだ。

「なんでそんな黒い飲み物が好きなのか理解できない」

コカコーラをコップにも注がずボトルごと一気飲みする山之辺を、二人で呆れて眺めた。

「コカコーラに罪はないけどね」

そういうわたしも、フライドチキンにはやっぱりコカコーラ派なのだ。

わたしはお行儀良く、グラスに注いだコカコーラを美味しく頂く。

ホットビスケットに蜂蜜をたっぷりかけて、由紀ちゃんも嬉しそう。

思い思いにクリスマスのご馳走を楽しんだ。


「ケーキもあるんだぞ」

「甘いものは別腹なんです」


ここでも山之辺は、由紀ちゃんに無用なちょっかいを出す。

きっとこれも彼なりの気遣いなんだろうと、納得しながらその様子を眺めていた。


わたしは頃合いをみて、食後のケーキの為にお茶の準備にとりかかる。

ケーキはクリスマスならではのブッシュドノエル。

ケーキ屋さんのカタログを見ながら由紀ちゃんと一緒に選んだもの。

母と二人だけのクリスマスは、こじんまりとカットケーキで済ましていたから。

ホールのケーキを頼むなんて、わたしにしても大はしゃぎの大イベントで。

今から食べるのが楽しみなのだ。
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