キスが教えてくれたもの♪
「じゃ、こんどはわたしから。霧子さんとお兄ちゃんに」
由紀ちゃんが取り出したのは、結構大きな包みだった。
山之辺と二人して、ガサガサと包みを解く。
出てきたのは、おそろいのエプロンだった。
「わぁ、お洒落!」
由紀ちゃんがくれたのは、赤と緑の色違いで、大きな胸ポケットがついた機能的なエプロン。
「お父さんと一緒に選んだの。あ、勿論、スポンサーはお父さんだから」
「って、俺にも家事をしろと」
「まぁ、そういうこと。
だって、霧子さんにばっか迷惑かけてるよわたし達」
真剣な顔で由紀ちゃんがわたしを見て言った。
「そんなことないよ。
料理は所謂わたしの趣味のひとつだし。
何より、みんなで食べるほうが楽しいし美味しいし」
わたしは慌てて打ち消した。
「だってさ」
その手を由紀ちゃんの頭に乗せて、山之辺が心配するな、と呟いた。
「もぉ~、お兄ちゃんてば!」
折角だからと、二人一緒にエプロンをつけて記念写真なぞ撮ってみたりして。
由紀ちゃんの携帯の待ち受けにちゃっかり収まったその映像を見て、なんだかちょっと嬉しかった。