キスが教えてくれたもの♪
どのタイミングでやつを好きになったのか、とか。
はたまた、どうやって好きにさせられたのか、とか。
わたしが考えても無駄ですね。
繋がった縁を見逃さなかった山之辺に賛辞を送りたい。
やつのキスに翻弄されたのも確かだけれど、やつの心根に動かされたのも事実で。
今までの苦労があったからこそ分かり合えるわたし達であるのも事実で。
だからこそ、惹かれあったのかもしれないし。
だから、一緒にいたいと思ったのだ。
わたしが受け止めていた試練の、そのまた上をいく試練をやつがさらりと受け流していることに驚いた。
『人間万事塞翁が馬』
それを地で行く山之辺正哉という男に、わたしは確かに取り込まれていた。