キスが教えてくれたもの♪
いつもの定期テストは、ちゃんと手を抜いて、上手く誤魔化してきた。
わたしが、一を聞いて十を知る天才だってこと。
問題の一割を間引いて解答する。
それがわたしの常だった。
成績は上の中。
程よい、良い子の定位置で。
それを守っていた筈だった。
『霧子、頭の良さをひけらかしてはいけないよ。
人間、一番大切なのは心根なんだ。
可愛い霧子の心根を無視して、霧子の能力に群がる輩を想像してごらん?
婆ちゃんは心配で死んでも死に切れんよ。
だから、決してその能力を人に悟られてはいけないよ』
そう言って、わたしのことを一番に心配してくれていたのは、他ならぬ祖母だったのに。