キスが教えてくれたもの♪
「あぁ、さっきの山之辺の件か。
気にするな、お前が悪いんじゃない。
お前はクラスが違うから知らんだろうが、先々週あいつの母親が亡くなってな。
急な交通事故だったらしい。
今日みたいに至急の呼び出しがかかって……
そういや、お前も先々週確か……」
「ええ、わたしは祖母が亡くなって……」
そう上の空で応えながら、わたしはあの墓所でのやつの様子を思い出していた。
――あの時、あいつは母親の葬儀で墓所にいたんだ。
身体が小さく震えた。
「じゃあ、なお更知らんだろう。
お前も先々週はずっと休んでたからなぁ」
「わたし、謝ってきます。
きっと、思い出させちゃいましたよね。
知らなかったとは言え、悪いことしちゃったなぁって……」
いつになくうろたえるたわたしの様子を見て、先生はなだめるようにこう言った。
「だろうとは思うが、止めとけ。
お前が謝ることじゃない。
こういう事は、そっとしておくのが一番なんだ……」