キスが教えてくれたもの♪
「だから……癒してよ、山野霧子さん」
突然、表情を崩したあいつが、わたしに手を伸ばして抱き寄せたんだ。
「な……」
「なんでって、俺、ずっと前からお前のこと知ってたよ。
教室の窓から、対面のお前のクラスが良く見えるんだ。
窓際の一番後ろに座ってる、お前の横顔をいつも見てた。
お前はいつも授業に集中してて、俺の方なんて一度も見てはくれなかったけどね。
横顔しか見えないお前の、正面から見た顔をいつも想像してたんだ。
そしたら、あの日、お前がここに居た……」
抱きしめられた頭の上から、そんな言葉と共に暖かい温もりが伝わってきた。