キスが教えてくれたもの♪
「キリコ……」
気を抜いたその一瞬。
そう名を呼ばれて口づけられた。
その口づけは何処か切なく苦しそうで、わたしは必死にそれを受け止めるしかなかった。
――わたしに彼を癒せる?
まさか!!
そう頭では理解できるのに、身体が言うことを聞かない。
わたしは滑り込む熱い吐息を必死に受け止めていた。
あぁ、わたしは何を頭で理解しようとしてたのだろう?
『人間、本当に悲しい時は人肌が恋しくなるものさ……』
父が死んだ時、祖母はそう言ってわたしを一晩中抱きしめてくれた。
その言葉の意味が、その時はわからなかった。
悲しみに理由なんて必要ない。
心の叫びを素直に受け止めればいい。
人肌に恋焦がれて、求めればいい。
二度目のキスは、ほんのり涙の味がした。