キスが教えてくれたもの♪
なんとなく丸め込まれて、墓所から帰ったその日から、わたしに変化が起こった。
確かに……
気づいて見れば、教室の窓の外、中庭を挟んだ対面の教室から山之辺正哉の姿が見えた。
他人に興味のないわたしにとって、それに気づいたことは大きな変化だった。
チャイムが鳴り、席に着く。
いつものように授業に集中しようと前を向く。
ふと、目の端に動くものを見つけて振り向くと、山之辺正哉が手を振っていた。
――ううぅ……
気になって集中できない。
なんてことも、わたしにしてみれば大事件で。
おもむろに立ち上がり、窓のカーテンを大きく引いた。