キスが教えてくれたもの♪
学校での軟派なチャラチャラした感じとは違う、頼れる男、って感じ。
むき出しの二の腕は、程よく日焼けしていて逞しい。
「で、バイクは?」
「あ? コンビニの駐車場。ホント、こいつマジ強引でさ」
「ま、まぁ、折角来たんだから食べてってよ、山之辺くん。
何にもないけど。
あ、卵のリクエストある?」
「ええぇ~ 霧子と山之辺知り合い?
なんだ、面白くねぇ~」
わたしが口にした、奴の名前に驚いて咲が大きな声を上げた。
「ったく、何処に接点があるってのさ……
山之辺、お前、ほんとのタラシだなっ」
咲に背中を叩かれ、転がるように部屋に入ったあいつは、エプロン姿のわたしに気づいたのか、なんだかとても嬉しそうに笑った。
「なんか、いいね。
俺、スクランブルエックがいいな、出来ればでいいけど」
わたしもなんだか浮かれてしまう。