キスが教えてくれたもの♪
∞霧子の事情
「ただいま。なんか、賑やかじゃない?」
そこへ、真の救世主、母美千代が帰ってきた。
「霧子が友達家に呼ぶなんて、何年ぶりでしょ……」
母は、嬉しそうに二人を眺め、目を細めた。
「あ、あたし、霧子の親友で若宮咲って言います。
これから、ちょくちょく遊びにくるので、どうかお見知りおきを!」
にこやかに手を差し出した咲の手を、しっかり握って母は笑いながら爆弾を落とす。
「じゃ、わたしが留守の間、家事もしっかり手伝ってね」
「えっ?
それはその……あたし、あんまし家事は得意じゃなくて……」
「あら、気は心。手伝ってくれるだけで霧子も助かると思うし」
「は、はぁ、まぁ、それはそうですね……
がんまります!」
母はこうやってわたしの友人を牽制するのだ。
母子家庭、昼間保護者のいない家に、悪い友達が無理やり居座る、なんてことがないように。