キスが教えてくれたもの♪
昔から、わたしは感情を表に出すのが苦手だ。
感情とは、理屈で説明できる類のものだと理解していた。
だから、状況に応じた理屈を作って、自分を自分で納得させて、感情が表に出る前に処理していたのだ。
父の死も、祖母の死も、悲しいという感情に理屈をつけて、納得したつもりでいた。
泣いてどうなるものでもないし。
悲しみに打ちひしがれるほど、執着があるわけでもない。
人は遅かれ早かれいずれ死ぬ。
別れは必ずやってくる。
所詮は自分以外の他者である。
悲しいとはいっても、
生きるを妨げるほどのものではあるまいし……