キスが教えてくれたもの♪
∞押し寄せる不安
あの日は、あれから咲と一緒に勉強して、お昼を駅前のハンバーガー店に食べに行った。
母はまだ寝ているし、咲がどうしても朝食のお礼におごりたいって、一歩も引かなかったから。
わたしは、友人と一緒にお店で食事をとるなんて始めてで。
トレーを持って、席についたけど、なんだか落ち着かなくて。
正面に座って、中学時代の山之辺の話を面白おかしく喋り続ける咲を、胸の詰まる思いで見つめていた。
「あいつってさぁ、中学入った時はすっげぇ小さくて可愛かったんだぁ~
それが、あれよあれよという間に、あんなでかくなっちゃってさ。
中三時は、見違えるくらいカッコ良くなって、いきなりモテだした」
「ふ、ふぅん、そうなんだ……」
「あ、でも、誰かと付き合った、って話は聞いたことないんだ。
何人も告った、って聞いたけど、全部振ったらしい……」
どういう心境の変化だ? と、咲は一人、首を傾げて考え込んでいたけれど。