キスが教えてくれたもの♪



夕方、あいつが約束通りに咲を迎えに我が家に寄った。



ライダースーツをきちんと着込み、フルヘルメットを被ったあいつは、なんかもう言葉にならないくらいカッコ良くて。

丁度起きてきた母に、「またお邪魔します」と丁寧に頭を下げ、咲を後ろに乗せて走り去った。


「あの二人、仲がいいのね」


何気なく放った母の一言が、わたしの心に妙な不安の影を落とす。


う~ん、

あの二人、が気になるのか、はたまた、仲がいい、が気になるのか?

もともと向こうからやって来た二人なのだ。

わたしの意志とはあくまで無関係に。



山之辺がわたしに、咲がわたしに近づいて、わたしのところで結び付いた。
< 89 / 237 >

この作品をシェア

pagetop