キスが教えてくれたもの♪
夕方、あいつが約束通りに咲を迎えに我が家に寄った。
ライダースーツをきちんと着込み、フルヘルメットを被ったあいつは、なんかもう言葉にならないくらいカッコ良くて。
丁度起きてきた母に、「またお邪魔します」と丁寧に頭を下げ、咲を後ろに乗せて走り去った。
「あの二人、仲がいいのね」
何気なく放った母の一言が、わたしの心に妙な不安の影を落とす。
う~ん、
あの二人、が気になるのか、はたまた、仲がいい、が気になるのか?
もともと向こうからやって来た二人なのだ。
わたしの意志とはあくまで無関係に。
山之辺がわたしに、咲がわたしに近づいて、わたしのところで結び付いた。