キスが教えてくれたもの♪



なんだか急に苦しくなって、胸の鼓動が早くなった。



――もしかして、わたしも心筋梗塞?

まさかね……


胸を押さえ、青い顔をしていた祖母を思い出した。

彼女の場合は、体力を超えた肉体労働に、心の臓が耐え切れなかった。

長い年月をかけ、彼女の心臓は肥大して、障害を抱えた。


大きく一つ深呼吸をして、平静を保つ。

学校では、その発作がやけに激しい。


あいつの姿が目に入ると、何故かだ急に苦しくなる。

条件反射?

って、何の?

あいつって、いつもこんなに視界の中に入ってたっけ?


「あれ、霧子、山之辺がこっち見てる。

なんか用じゃない?」


隣を歩いていた咲が、ごく自然に言うものだから、

「な、なんだろうね」

なんて、軽く受け流してみたりして。


「お~い、山之辺、なんだよぉ~」


――って咲ってば、呼ばないでよぉ~
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