キスが教えてくれたもの♪
∞バイブレーション
表にバイクのエンジン音が鳴り響いた。
暴走族って感じの大きな音じゃないんだけど、郵便屋さんの原付バイクよりは、やっぱり少し本格的な、お腹に響く低い音。
程なくして、玄関のチャイムが鳴った。
「はい……、あ……、来たんだ……」
そこには、山之辺正哉が立っていて。
「って、お前、誰が来たかも確認しないで扉あけんの?
物騒だな」
今日もキッチリとライダースーツを着込んだあいつが、すかさず扉から中へと滑り込んだ。
そのまま抱き寄せられて、キスされた。
――う~ん、今日もその路線で来るかぁ~
「って、違うって……
今日は霧子を連れて行きたいとこがあるんだって。
お前、もう用意は良いのか?」
「えっ、あ……うん……」
急に真顔になったあいつが、わたしの様子を上から下へと眺めた。
「上に、上着羽織って来たほうがいいな。
風除け。
バイクって生身に風当るからさ」
「うん……わかった」
なんか、言われるがままにわたしは部屋へと上着をとりに上がった。