キスが教えてくれたもの♪
七部丈のスパッツにTシャツ、水玉のチュニックを重ねていた。
ま、わたしにしては極普通の普段着で。
別段、デート、だからって何を着たらいいのか分からなかったし。
部屋に戻り、その上にパーカーを羽織った。
階段を下りて行くと、あいつの姿が目に入った。
――やっぱりまだいる。
ってことは、これは現実なんだよね?
なんだか不思議。
わたしであって、わたしでないような。
現実であって、現実でないような。
わたしであるけど、わたしでいたくないような。
「よし、行くか」
あいつは、わたしの姿を確認すると、玄関の扉を開けた。