キスが教えてくれたもの♪




玄関先には、あいつのバイクが止まっていた。




――わぁ~ 結構大きいんだ。

と、ちょっとびっくりした。


この間は兎に角緊張していたし、夕暮れ時もあって、バイクにまで目が行かなかった。

後ろに跨る、咲にばかり気を取られて……


「ほれ」


バイクのシートの下から取り出した、ヘルメットを手渡された。

「あ……、うん」

手にとって、被ってみる。

けど、なんだかしっくりこない。

――スルスルするなぁ~


「ちょっと貸せ」


上から手が伸びてきて、頭が軽くなった。


「お前、頭小せぇんだな」


どうやら、あいつは、ヘルメットを調整しているらしい。


「ほい、こんなもんだろ」


ボスっと無造作にヘルメットを被せられ、頭が重くなる。

今度は顎下のフックを止めようとするが、なかなか上手くいかない。


「お前って、案外不器用だよなぁ」


そう言って、覗き込むようにあいつが近づいてきて、わたしの顔に手を伸ばしてきた。


<カチッ>


と音がして、フックが止まる。


<チュッ>


と、同時にまた唇に温かいものが重なった。


「よし、行くぞ」


凄く自然に、流れるような動作で、あいつはバイクに跨った。
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