【完】ラブ☆パワー全開



「小学校の頃とか、オカンが勝手に買って来てたし」

「それを渡しに行ってたの?」

「ううん。途中で面倒なってほったらかしにしてたらオカンが後で勝手に返しとった」



ぶっ。

お母さんって大変なんだ。


でも小学校の頃から仁ってモテてたってことだよね?



「そ、そんなに貰ってたの?」

「お返し目当てで男のほとんど貰ってたんちゃうんかな」

「へぇー」



今時の子って積極的なんだ。


あたしが初めてあげたのっていつだったかな……。

あー、確か幼稚園の頃だった気がする。


って、あたしも十分積極的じゃん。



「あ、でも中学の時とかは?」

「お返し放置するからオカンが怒ってさ。それからかなぁ、受け取れへんくなったん」



なるほど。
確かにお母さんも中学生になってまで、お返し周りは嫌だろうね。



「仁、酷いね」

「えっ。あー……やな」



苦笑いを零しながら、頷く。



「あたしが初めてなんだ?」

「そ。綾さんが初めて」



そうにっこり笑ってくれて、
凄く凄く嬉しかった。



初めて付き合った人でもないし。

初めてキスした人でもないし。


“初めてのこと”なんてこの年になって期待なんてしてなかった分、余計に嬉しかったんだ。




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