【完】ラブ☆パワー全開



今言われた言葉なんてどこかへ飛んで行ってしまうくらいに、その顔を。


その顔を……写メりたい!


言ったら怒るかな……なんて一瞬迷ったけど。



えぇーい!

こんなチャンスない!


絶対ないっ。



「仁っ! 写メらせて!」

「……はぁ!?」



呆気に取られてる仁を無視して、
急いで携帯を取り出す。


カメラ設定……OK!


勢いよくカメラを向け、
ボタンに手をかけた瞬間。



もう、あの顔してなぁぁぁい!



ガックリ肩を落としてしまった。



「あの~?」



不思議そうな顔も無視して、
ビールを手に取りソファに座った。

――プシュッ
冷えたビールを開け、一口飲む。


あーぁ……残念。


また飲んでは、また凹む。



「綾さん、自分の中で話し進めんといてー」

「え? あっ! ごめ……」



仁の声で我に返ったあたし。

また、やっちゃった。


独りの世界。



「えっとね。さっきの仁の顔が、すっごくかっこよくてね?
写メりたかったんだけど、間に合わなかったの。
それが残念だな……って思ってさ」



本当に……残念。

思い出して、またまた凹んだ。




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