【完】ラブ☆パワー全開



口を両手で押さえていたあたしが、
ふと気付くと仁が首を傾げ



「何で我慢してん?」



そう呟いた。



え、だって……



「恥ずかしいんだもん」

「恥ずかしないよ?
てか、俺は綾の声が聴きたい」



真剣な顔で囁かれた、

声に、

言葉に、

あたしは吸い込まれた。



綾……?



普段は付ける“さん”がない。

驚くあたしの手の甲にキスを落された瞬間、
体の心から熱いものが溢れ出した気がした。



「だから、我慢せんでいい」

「でも……んっ……」



あたしに選択の余地はなく、
全てが仁に委ねられ。



「じ、仁っ!」

「んー?」



真っ赤になった頬を膨らまし、
少し怒って睨んだら仁はニヤッと笑って、



「その顔も、そそる」



なんて胸元で、甘ーく囁かれ。



全然、説得力のないあたしの怒った顔と。

それとは裏腹にどんどん赤く染まるあたし自身。



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