【完】ラブ☆パワー全開



暫くして、少しずつ麻痺した意識が戻ろうとした時、仁が呟いた。



「綾さん……ごめんな」



な、何で謝るの?

そう聞きたいのに……恐くて聞けない。


いくら考えても、何について謝ってるのかがわからない。


もしかして、あたし駄目だった?


今までみたいに

『何か違う』

その言葉を言う為の“ごめん”なのかな。



謝った後、あたしに背中を向けたままの仁を見つめていたら自然と涙が出て来た。



あたしは、いつもみたいに

『うん、わかった』

って言わなきゃ駄目なのかな。



でも、そんな思ってもない言葉は簡単に出て来ない。

だけど、何が駄目だったのかもわからない。

あたしも背を向け、布団を抱きしめて声を押し殺した。



SEXには相性があるっていう。

上手い下手もあるっていう。

そのどちらも、あたしは満たしてなかったの。


それとも、2回の経験がバレちゃった?



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