【完】ラブ☆パワー全開
「綾さん、怒ってる?」
あたしは首を振るだけ。
だって、仁の方に振り返ったら、
泣いてるのバレちゃうもん……。
「俺、我慢出来んくて……って綾さん!?」
グィッと肩を引かれ、
仁の方に向かされたあたしの顔を見て目が丸くなった。
「えー……?
やっぱ痛かった?
本間にごめん」
オロオロ。とは、こういう状態をいうんだろうな。
冷静に思いながら、あたしは笑って。
言うんだ。
「ううん、大丈夫。
……わかってるから、気に、しないでね」
何が大丈夫なの?
何が気にしないでなの?
大丈夫でも、気にしないでも、全部嘘だよ。
今ね、猛烈に後悔してる。
ヤラなきゃ良かったって。
誘うようなこと言わなきゃよかったって。
そしたら、まだ仁の隣に居れたかもしれないのに。