【完】ラブ☆パワー全開
見つめていた仁の顔が近付き、
唇に軽いキスを落とすと腕を差し出し
「綾、おいで?」
って……。
もしかして、これって。
もしかしなくてもっ!
「腕枕?」
「そ」
「いいの?」
「勿論」
こんなことをサラッとやってのける仁に、
ドキドキしっ放しのあたしは腕のに頭を乗せた。
その瞬間、ギュッと抱きしめられ、仁の全てに包まれてる気がした。
「綾さん」
「……ん?」
恥ずかしさと照れしかないあたしは、
仁の胸や腕や匂いに完全に酔っている。
「ひとつだけ約束してくれる?」
「約束?」
「ん。俺が綾さんのこと捨てるとかまじないから……信じて?」
ね、仁。
わざとでしょう?
あたしが悩んでることを
サラッと何事みたいに言っちゃうのは、
わざとなんでしょう。
“信じて”は、あたしのセリフ。
あたしが仁から離れることなんて、ない。
たった23年間かもしれないけど、
あたしは仁みたいな人に初めて出会ったもん。
好き過ぎて恐いなんて感情、生まれて初めてだよ。