【完】ラブ☆パワー全開
「そんなに振られるんだ?」
「そそ。顔はすんげぇ綺麗のに、すぐ振られるらしいよ」
「そんなに綺麗の?」
「うん、かなり」
「俺見てみてぇー。敦、紹介してよ」
「あー、無理無理。綾乃ちゃん、年下に興味ないらしいから」
「ちぇ、残念」
2人の会話を聞きながら、
何が残念やねん。と思ってしまった。
思った後に、
なんでやねん!
って自分自身に突っ込みを入れて、また意味わからん。
そのまま、また寝る気にならず俺が部屋を出ると
ちょうど隣の敦の姉ちゃんの部屋のドアが開いた。
「あ……もしかしてトイレかな?」
ヒョコっと顔を出したのは。綾乃と呼ばれていた、あの女で。
突然過ぎて驚くことすら出来なかった俺は
「え……あ、はい」
そう頷くだけだった。
「そっか」
そう言って、また部屋へと戻りドアが閉まる。
あ、もしかしてトイレやったんか?
バタンと聞こえたドアの音で、ようやく動き出した俺の頭の中。
だって、こんな風に会うとか思ってへんやんけ。
この瞬間。
俺は気付いたんかもしれん。
この人が、綾さんが気になってるって。
その場にしゃがみ込み、頭をガシガシとかいた俺は
高鳴る動悸の意味を理解出来んくて。
何でこんなに気になるねん。
そうとしか思われへんかった。