【完】ラブ☆パワー全開
「ちょっと、考え事してたら……躓いちゃってね?」
照れてあはって笑うあたしに、
目線だけ向けて、
「綾さん、もっとしかっりして?」
真顔で言われ、
あたしの顔から笑みが消える。
「ご……めんなさい」
さっきまで仁が来てくれたのが嬉しくて、泣きそうだったのに。
今は仁の怒った顔に、泣きそう。
無言のまま、
あたしの手を引いて歩く。
あたしに大人なんて言葉は絶対似合わない。
馬鹿みたいに妄想して、
馬鹿みたいに一人で考えちゃって。
その上、年下の仁にまで、
しっかりして。って言われちゃうんだよ。
こんな頼りない年上の彼女に疲れちゃったかな?
仁に怒られて……
今だって、手繋ぐんじゃなくて引っ張られてる。
何度、仁の背中に心の中で謝ったかなんて、わかんない。
ちゃんと謝ったら仁は許してくれるのかな?