【完】ラブ☆パワー全開
どっちもどっち
仁に引っ張られ着いた先は、駐車場。
こんなとこに連れて来て……どうするんだろ?
バイク……?
じゃないよね。
どう見ても周りは車だらけ。
「じ、仁? こんなところに何かあるのかな?」
遠慮がちに聞くあたしに、
やっと目を合わせてくれた仁は
「もう、絶対に他の男の前で妄想とかしたあかんで」
「う、うん」
「絶対?」
腰を屈めて、
あたしに目線を合わせた仁の目を見つめて大きく頷いた。
「じゃあ、教えたる」
そう言って、
あたしに向けられたのはいつもの優しい笑顔に、ちょっぴり得意気な顔。
たった、それだけのことに。
きゅうううんって心臓が大きな音を立てる。
こんな頼りない、
こんな馬鹿な、
こんなあたしでもいいのかな。
もう何回、仁を好きになったかなんてわからない。
仁の笑顔があれば他に何もいらない、それくらい好き。