【完】ラブ☆パワー全開
ポケットをゴソゴソして何かを取り出した。
……鍵?
キョトンとしたままのあたしは、
仁が鍵を向けた方に顔を向けた。
近くにあった黒い車のライトがチカチカ光る。
え?
それをポカーンと見つめたままのあたしは背中を押され、
あっという間にその車の前へと案内された。
「はい、綾さん乗って」
まるで自分の車かのように、
助手席のドアを開ける。
「へ?」
全くもって回らない頭。
何が何だかわからず、
仁を見上げると
「ぶは! 綾さんのそんな顔よう見るわ」
なんて、噴出しながら笑う仁もかっこいい……。
じゃなくてっ!
え? 車!?
「俺、教習通ってるって言わへんかった?」
そう言って、あたしを助手席に押し込むと、運転席側に回った。
教習? 記憶を辿ったあたしは
「あーーー!」
と叫び、運転席側のドアがバンと閉まったと同時に
「もっ、もしかして免許!?」
と素っ頓狂な声を出してしまった。