【完】ラブ☆パワー全開
「実はさ……バイトって言ってたん、ちょっと嘘やねん」
驚くあたしに、頬を赤く染めチラッとこっちを見る。
「実は……運転の練習しててた」
「は?」
「綾さんの前でかっこ悪いとこ見せたないやん?
だから、親父が仕事から帰って来てから……、
ドライブ?」
「お父さんと?」
「うん」
真っ赤になった仁は、
凄く可愛いくて。
「綾さんが、バイト終わった後でもいいから会いたいとか言ってくれへんかったから……今日は、親父ドタキャン」
「えっ? いいの?」
仁も会いたいって思っててくれたの?
あたしが思ってたことを勇気出して言ってれば……会ってくれたの?
「あーいいねん!
車ないから、彼女んとこやって思ってるやろ?」
お父さんに“彼女”って話してくれてるの?
あたしの為に……練習してくれてたの?
「綾さんはさ……俺に会いたくなかった?
って俺ガキ過ぎるな。
たった何日かが我慢出来ひんなんて。
やっぱ、綾さんは……大人。って、え?」
溢れ出しそうだった涙は簡単にボロボロと零れた。
だって。
だって。
だってぇ。
あたしが気にしてたこととか、
言えなかったこととか、
思ってたこととか。
全部、一気にまとめて答えちゃうなんてセコイよ。