【完】ラブ☆パワー全開
ようやく教室前に到着した、
その塊に仁の姿はあった。
その横には、
さっき千恵と喋ってた女の子がピッタリとくっ付いている。
は!?
な、何で!?
も……もしかして?
「学校では、超無口で冷酷なんだけど、それでもモテるみたいよ?」
隣に居た敦君が苦笑いを零しながら言う。
そうだとしても!
ここまでモテるなんて聞いてないんですけど!
それに、あの女の子……。
「おーい、仁♪」
敦君が呼んだ瞬間、
こちらを鬱陶しそうな目で見た仁と視線が絡まる。
「……綾さんっ!?」
途端に、いつもの優しい顔に変わり隣に居た女の子を振り払って来た。
「もう来てたんや」
「うん」
「携帯鳴らしてくれたらよかったのに」
にっこりと笑い、
いつもの仁の笑顔が振ってくる。
そんな仁を見上げながらも、
あたしの視界には仁の後ろでこちらを睨む視線が気になるところ。
「おい……仁、見てるけど?」
それに気付いた敦君の一言で、仁も気付いたようだった。
あたし達に、ゆっくりと近付いてくる女の子が
「敦のお姉ちゃんの友達だよね?」
そう敦君に尋ねた。