【完】ラブ☆パワー全開
「綾さん、大丈夫!?」
トイレから出ると心配そうにした仁がいた。
そりゃ、そうか。
あんな不自然に行ったら心配するよね。
「なんか会場に酔ったみたいだよ」
なんて言おう。
そんなことを考えていたあたしより先に、
言ったのは礼子ちゃん。
「あ、そうなん?」
「えっ。あぁ、うん」
何?
あたし、そんなこと一言も言ってない。
この場を切り抜けるためには有り難かったけど……。
「気付かんくてごめんな。どっかで休もか」
「ううん! 大丈夫だよ!」
眉を下げて謝られ、
礼子ちゃんの誤魔化しを利用してしまったことを後悔した。
そんなの嘘なのに。
仁に心配かけちゃった。
「でも……」
「ね、仁! 綾乃さんも大丈夫だって言ってるんだし、そろそろ次の観に行こうよ」
え、次の?
「いや、でも」
「仁観たいって言ってたじゃん」
何の話なのかが全く読めない。
「……うーん」
言葉を濁しながら、
あたしに目線を落としす。