【完】ラブ☆パワー全開



「ふぇ?」



肩に手を置かれ、
仁の温もりが伝わってくる。

だけど、そんな温かさも束の間。



「頼むからサッサッと帰ってや……」



あ……。



あたしのことが気になって
来てくれた訳じゃないんだ。


その言葉の意味くらい理解出来る。


なら、無視して欲しかった。

こんな優しさ、痛いだけだよ。


せっかく決心した想いが消えていってしまう。

また弱いあたしだけが残ってしまう。



涙が頬を伝い、
ここから逃げ出したくなる。



だけど、こんなにもハッキリと言われてこれ以上先延ばしにして何になる?

諦めなきゃ駄目なんだよね。


でもさ。


あたし馬鹿だから、
ちゃんと言われなきゃわからない。


ちゃんと終わりにして、
仁の居ない世界を見なきゃ……。



< 256 / 370 >

この作品をシェア

pagetop