【完】ラブ☆パワー全開
あたしの心臓は壊れてしまうと思う。
全身が熱くて。
いや、既に溶けそうで。
仁の手があたしの背中に回わった時、
涙が零れてしまった。
「え、綾!?」
「う、うぅ~」
涙が一気に溢れ、
声にならない声。
「どうしたん? ごめんな?」
何で仁が謝るの?
悪いのは、あたしなのに。
絶対絶対、あたしなのにー。
でも駄目なんだ。
これじゃあ、駄目なんだ。
ちゃんと言わなきゃ。
あたしが悪いって、
あたしの中で終わらせちゃ駄目なんだよね。
溢れる涙を親指で飛ばす仁の目を真っ直ぐに見て、息を整えて。
「あたしね。礼子ちゃんに嫉妬してたの。
礼子ちゃんに初めて会った時、仁のことが好きなんだって気づいてたの」
「え? そうなん?」
驚く仁に頷いて返事を返すと、
どんどんと話を続けた。
「でも仁、気付いてないし。
告われた訳でもないのに、それをあたしが言っていいのか悩んでね。
ううん、それよりもバレンタインチョコを礼子ちゃんから貰ったことにも嫉妬してたのかもー」
「え、そんな時から!?」
順番なんて無茶苦茶で。
何を話してるのかさえ、
自分でもわからなくなってきた。
だけど、仁が聞いてくれるから。
頑張って今までの気持ちを言葉にするんだ。