【完】ラブ☆パワー全開
「今日ね、バイト先に行ってたんだ本当は。で、礼子ちゃんの告白も知ってる」
「あ、そうなんや」
言いたいことを言い終えると、
仁はあたしの涙でボロボロの顔を優しく撫でてくれた。
「本間は、あの日。山北と帰って来た日な?
礼子に告われたことを綾に言おうと思って行っててん。
俺、本間に気付いてなくて。
しかも俺のツレが礼子のこと、ずっと好きなんも知ってたから、どうしていいかわからんくて」
そうだったんだ。
あたしに話してくれるつもりだったんだ。
それなのに、あたし……。
「あ。綾が悪いんちゃうで?
俺に余裕がなかっただけ。
気付かへんかったんは俺やのに、綾のこと見たらそっちに気取られて……んま、ダサイわ」
ううん、と大きく首を振った。
「でも、それで綾のこと傷付けてるやん」
違う、違うんだもん。
あたしが、もっとちゃんとした行動をしてれば良かっただけじゃん。
「だから、ごめんな?」
「あたしがっ! あたしが言わなかったから悪いんだよ。
勝手に不安になって。
勝手に心配して。
勝手に妄想したから……悪いんだもん」
「ふっ。妄想って」
ずっと哀し気な表情をしていた仁が、
やっと笑ってくれた。
その笑顔に胸の奥がキューンって音を立てる。
「仁……好き」
その言葉で真顔になった仁は、瞬間。
口角をあげ、
「今日の方がめちゃくちゃにしてまうかも」
そう言って、あたしの唇を塞いだ。