【完】ラブ☆パワー全開
でも……
「あぁ、山北さんとは、あの時もこれからも、何もないってわかってくれてますから」
どうだっ!
言い切ったもんね。
「ぶは! やっぱり綾乃ちゃん可愛いね」
はぁ?
何で笑ってられんの?
山北さん……意味わかってんのかなぁ。
「俺も意地悪し過ぎちゃったし?
彼氏に謝らなくっちゃね?」
「ふぇ?」
まさか、そんな言葉が出て来るだなんて思っていなかったあたしは、山北さんのセリフに素っ頓狂な声をあげてしまった。
そんなあたしを見て、また笑う。
「だってさ?
俺、綾乃ちゃん狙ってるのに、相手高校生ってむかついたんだよねー」
はぁ?
「だからこんな事で、すぐ別れたら綾乃ちゃん奪っちゃおうと思ってさ?」
……。
目の前で、極上のスマイルを見せる山北さんに軽く眩暈がした。
駄目だ。
あたし、この人について行けない。
「もしかして、あれってわざとですか?」
「うん、ごめんね」
「……」
何も言えない。
いや。
最低!
とか、いっぱい言葉はあるよ?
でも。
言葉が出ないって、
こう言う時に使うんだね。