【完】ラブ☆パワー全開
「バ……イト……」
『バイトはどうしたの?』
って言いたかったけど、しんどさで声が続かない。
そう、今日は仁がバイトだったから夜から会う予定で。
そのまま、お泊りして明日は朝からデート。
だから今日は部屋を片付けようと思ってたんだ。
「バイト? あぁ、バイトは休んだ。ってか変わってもらってん」
「な……んで?」
枯れた声で聞くあたしに、
「だって、綾さんが電話で“ムリ”だけ言って連絡つけへんくなるから。心配するやん」
あ……あの電話、夢じゃなかったのね?
「ごめ……んね」
「はいはい、わかったから。もう喋らんと寝とき」
優しくあたしに向けた笑顔と、
お父さんみたいな言葉。
それに甘えてゆっくり目を閉じてしまった。