【完】ラブ☆パワー全開
「ごめん、取ってくるね」
メットを取り、
部屋へと戻ろうとしたあたしを引き止めた。
「待って、俺も行くわ」
「え? 大丈夫だよ?」
「今日の綾さん、何か抜けてるやん?」
失礼しちゃう。
だけど、言い返せないのが事実。
さっきから変な事ばっかしてるしなぁ。
バイクから降りた仁は、
「なんてな。俺が綾さんと離れたくないだけ、とか?」
へ?
首の後を押さえテレた表情で、
あたしを見下ろしながら言った。
「だー。俺、何言ってんやろ。アホみたい」
フッと笑い、エレベーターのボタンを先に押しに行ってしまった。
その後姿を見つめながら、全然アホみたいじゃないからっ!
てか、あたしなんて変態だよ? なんて思う。