【完】ラブ☆パワー全開
そのまま、何も言わない仁。
埋めた顔を上げると片手で顔を押さえた仁が、あたしを見下ろしていた。
「仁、顔赤いよ?」
そう言うと凄く恥ずかしそうにして、あたしから目を逸らす。
「うっさい……」
なんて冷たい言葉なのに、思わず笑ってしまった。
「何で笑ってんよ?」
「だって、仁が……」
視線が絡み、また静かな時間が流れる。
ふてくされた顔をしながらも、テレ笑い。
それを見て、あたしも笑ってしまった。
「もーう、綾さんには負けっぱなしやわ」
負ける?
あたし、仁に勝ったのかな?
……何で?
考えるあたしに、
「言葉の意味をイチイチ考えんといてや?」
なんて、フッと笑いながら言う。
その言葉に、うん? と首を傾げると、
「今日は、この間の風邪ん時の責任取ってもらおかな♪」
って、楽しそうに微笑んだんだ。