【完】ラブ☆パワー全開
友の助言
「仁と、どーなのよ?」
ガヤガヤした社内食堂で、
トレイに乗せたカレーをテーブルに置くと同時に、
先に座っていた千恵が突然言い出した。
「何、突然?」
椅子を引き座ると
「いただきます」
と両手を合わせてお箸を持ち、続ける。
「付き合ってないんでしょ?」
「……うん」
あたしも
「いただきます」
をしてスプーンを持つ。
「で、どーすんの?」
七味を3回振った後、
何も答えないあたしにようやく視線を向けた。
「あたし、こんなじゃん?
付き合って仁と終っちゃうくらいなら、このままがいいんじゃないかなって思うんだ」
「このままって、仲のいいお友達ってこと?」
コクリと頷くあたしを見て、
千恵はうどんをすすった。
「それでも別にいいと思うよ、私はね。
でも、それは仁の隣は綾乃の位置じゃないってことにもなるよ?」
「え?」
「仁に特別な子が出来る事もあるってこと」
特別な子って……。
「彼女って意味?」
「そう。仲のいい友達に、彼女を作るなって権限まではないでしょう?」
確かに、そうだ。