【完】ラブ☆パワー全開
「余裕持つくらいなら、そのぶん綾のことをもっと好きなる時間にする。
だから余裕なんて持ちたくないけど」
ボソッと呟いた俺に、キョトンとした顔を見せて
「何!? ついに頭、変になった!?」
慌てふためく千恵がおかしくて、笑ってしまった。
「違うよ、さっきの彼氏君のセリフ」
「あぁ」
「いいね。若いって」
納得して目の前にある、皿に箸を伸ばし
「女はいつでも想われていたいもんなんだよ」
そう言った千恵を驚いて見返してしまった。
「千恵って、男は金だけだと思ってた」
「はぁ!? 何、私の口から恋愛の話が出たらおかしいって言いたいの?」
「いや、そういうわけではないけど、ね?」
苦笑いしか出来ない。
「私だって、好き嫌いで恋愛したいんだよ?
でも、上手くいかないじゃん。
だから取り合えず金でラインわけしてるだけ」
へぇ。
驚いた。
そんなこと考えてるんだ。