【完】ラブ☆パワー全開
自分の机の前に立ち、
ゴミへと視線を落とした男の子は何の迷いもなく机を蹴飛ばした。
ガタンッ!
大きな音を立てて倒れる机。
その上にあったはずのゴミが辺りに散らばる。
時が止まったように静まり返った教室で男の子の声は響いた。
「お前等、ゴミ捨てる場所もしらんのか?」
そう言ってニヤッと笑い、
倒した机を起こすと散乱したゴミを無視して席についてしまった。
「ちょっ!」
カーッとなった主犯格の男子が食って掛かろうとした時、
「だね」
「うん、早くゴミ拾いなよー」
そう言って、楠木と敦がその男の子の席へと向かった。
「俺、敦。よろしくねーん」
「俺は楠木ね」
ピースをしながら男の子の前の席に座った敦と、隣でにっこりと笑う楠木。
「敦と楠木?」
そう聞かれ、うん。と頷く2人。
「俺は、仁」
「仁か。お前、顔だけじゃなくて名前もかっちょいーなぁ」
「おーい、礼子! 仁だって!」
え!?
呆気に取られていた私に、
楠木が叫んで男の子……仁と目が合った。
「あ。れ、礼子。よろしくね」
そう言ったら、
仁はにっこりと笑って
「よろしく」
そう言ってくれたんだ。