【完】ラブ☆パワー全開
「礼子、おはよっ」
「え、あぁ。おはよう楠木」
「どうかした? 顔色悪いけど」
「……ううん。まだ寝ぼけてるだけ」
そういうと
「礼子らしー」
と楠木がクスクスと笑っていた。
私らしいって、どういう意味よ。
少しムッとしたけど、
あまりにも懐かし過ぎる夢を見たせいか言い返す余裕がなかった。
あんな夢をみた原因はわかってる。
ずっと見ていた、
ずっと1番近くに居た
と思っていた仁に彼女が出来て。
振られるってわかっていたくせに告白して、見事玉砕。
その上、彼女とのラブラブ度を見せ付けられる日々。
そりゃ、変な夢も見るよ。
周りの言葉に安心していた私が悪いんだと思う。
仁の彼女は礼子でしょう。
女の子を寄せ付けない仁の隣に当然のように居た私。
実際は、仁が転校してきた時から仲が良かっただけのことなんだけど。
正直、私もそう思っていた。
だけど告白する勇気がなくて。
何年もそばに居たら、
本当の友達になってしまっていたという哀しい結末。