【完】ラブ☆パワー全開
仁は綾乃さんのことしか見てなくて。
それは、もう羨ましいくらいに綾乃さん一筋で。
綾乃さんが嫌な人だったらよかった。
そうしたら、嫌いになれたのに。
嫌いに、なれたのに……。
「おい、礼子」
「な、何よぅ」
少し怒った口調で私を呼ぶ声に、
ほんの……ほんの少しだけ、引いてしまった。
変な夢を見る原因は、もうひとつある。
楠木。
最近の楠木は変なんだ。
昔っから、最後は私の言う事を聞いていたのに。
私がきつく言えば引いていたのに。
何か……最近強いって言うか何て言うか。
それに仁も、私が楠木を好きだって思ってた。
とか、わけわかんないこと言うし……。
「お前、また綾乃さんに何か言っただろ?」
う……。
な、何よっ。
綾乃さん、楠木にチクッたわけ?
最悪ーーー。