【完】ラブ☆パワー全開



頭に仁の優しい笑顔を思い浮かべた。

それなのに、どうして隣に笑ってる綾乃さんまで浮かぶの?



もう私の中で、仁の笑顔は綾乃さんにしか見せないものってわかってるって事なのかなぁ。



そう思うと哀しくなって泣きそうになる。

グッと胸が苦しくなる。



「おい、礼子危ないって」



ハッと気づくと、
目の前には楠木が居て私の腕を引っ張っていた。



「ちょっ……何するのよ!」

「ってぇ」



その手をおもいっきり突き放した。



「はぁ? 礼子、電柱に突っ込んで行くから止めただけなんだけど」

「え?」



目の前には電柱があって、
それを見た私から苦笑いが零れる。

楠木はムスッとした顔で



「どうせ仁のことでも考えてたんだろー」



そう言って歩き出してしまった。



さすがに今のは……ヤバイよね?

いや、私が絶対的に悪いよねぇ。


慌てて、先々歩く楠木の背中を追いかけた。



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