【完】ラブ☆パワー全開
「ちょっと待って、楠木。ごめん! 今のは悪かった!」
小走りで隣に追いつき、手を合わせて謝る。
そうして片目をチラッと開けて楠木を見ると、怒った顔を見せていた。
「まだ……忘れられない?」
「え?」
「まだ仁が好きなの?」
「は? え……」
「もうさ、いい加減忘れたら?」
「……っ。く、楠木には関係ない!」
「関係なくなんてねーよ」
「はぁ? 何言ってんの? 楠木には関係ないでしょ!」
「関係なくないっつってんだろっ」
え……。
何これ。
また、きつく掴まれた腕は楠木に引っ張られて。
そこがジンジンと熱い。
合わさった唇からは、ほのかに感じる体温。
見開いた目は瞬きを忘れてしまったように、動かなかった。