【完】ラブ☆パワー全開
「で、どうしたの?」
今の大声は何だったの、
それくらいに小さな声で囁く。
「……断っちゃった」
いったんカレーに視線を落としたあたしは、
千恵と同じくらい小さな声で囁いた。
「あー、そっか」
千恵は怒るでもなし、
馬鹿にするでもなし。
何となくわかってた、
そんな声を出した。
「綾乃の今までの恋愛とか、気持ちとか知ってるだけに何とも言えないわ」
って、ニヒッとひとつ笑みを零す。
それにつられて、
あたしも苦笑い。
「何で上手く付き合えないんだろ」
「まぁ、誰でもそうでしょう。
好きな人には可愛く思われたいって思うし。
嫌われたくないって思って当然じゃない?」
驚いた。
まさか千恵の口からそんな言葉が出るなんて!
「千恵でも、そんなこと思ってたんだね」
なんて言ったら思いっきり睨まれちゃったけど。
だって恋愛に関しては、
主導権は千恵。
結婚したらカカア伝家、
間違いなしの千恵なのにさ。