【完】ラブ☆パワー全開
「あ、柊いたー!」
背後からかけられた声に顔を向けると、
中山君が大きく手を振ってこちらに向かって来た。
中山君は、同僚で元彼でもある。
付き合った期間2ヵ月と16日。
別れた理由は、
勿論……いつもと同じ。
「久しぶり!」
ニカッと眩しい笑顔が
好きだったところだったかな。
「どしたの? 珍しいね、中山君が社内食堂に来るなんて」
付き合ってた頃、
中山君とのお昼は常に外のお店だった。
同じ会社だから
食堂は冷やかされるから使いにくいって部分もあったけど。
中山君の場合モテるからフリーの時は他の会社の子と食べたりしてたんだよね。
付き合ってからも、
あたしが無理な時は他の子と食べたりしてて
それが嫌って言えなくて不安になったなぁ。
なんて、思い出していたら
「お前さ、彼氏いる?」
軽いノリで聞かれた。
「いない、けど?」
突然の質問に戸惑ってしまった。
仁は、彼氏じゃないもんね。
……好きな人なだけだし。