【完】ラブ☆パワー全開
「少なくとも中山よりは上手く行くと思うよ?」
うどんの汁を飲み干した千恵が言った。
「え? 何の話?」
中山君は興味津々といった表情で、
千恵とあたしを交互に見る。
「好きな男の話」
「ちょ、千恵!」
サラッと言われて焦った。
「え、なになに? 柊、好きな男いんの?」
楽しそうな中山君。
もー勘弁してよー。
「どんな奴? って、山北(ヤマキタ)! こっちこっち!」
目をキラキラと輝かせた中山君が、
立ち上がり手招きをすると見た事のない男の人が近付いて来た。
目が合い、
ペコリと軽く頭を下げると、
山北さんと呼ばれていた男の人も頭を下げた。
「中山、お前どこ行ってんだよ」
「悪い悪い! 合コン相手を探してたらさ。柊見つけてさ」
中山君が、あたしを指差すと山北さんが、
またあたしに視線を向ける。
今までの表情とは違い、
作ったかのように微笑んで
「あぁ、今日の? 宜しく、山北です」
と手を差し出してきた。
取り合えず、
握り返しニコッと笑ってみる。