【完】ラブ☆パワー全開
「綾乃ちゃん、飲んでるねぇ」
え……っと?
「山北だよ」
あ。
そうそう、山北さん!
私の疑問を感じ取ったのか、
山北さんは苦笑い。
お昼に会った人の名前を忘れるとか失礼過ぎるけど、
そんな事どうでもいいくらいに頭が上手く回転しない。
「飲んでますよー」
「あはは。しかし綾乃ちゃんて、本当綺麗だよね」
「へ?」
これは、お馴染みの口説き文句ってやつかしら。
あぁ、そうだよね。
一応は、4対4の合コンなわけだし、
あたしが飲みに走ると誰かが1人浮いてしまう。
それが山北さんって事ね。
気を遣って言ってくれてるんだろうから、
適当が1番よね、うん。
「ありがとーございまーす」
「ぶはっ! 棒読みだし」
残ったビールを飲み干しながら言うと、
山北さんは声を出して笑った。