【完】ラブ☆パワー全開
会……える。
今から会える?
嬉しいっ!
嬉し過ぎる!
さっきまで悩んでいた事なんて
頭の中から消え去っていて、
あたしは軽いスキップを踏んでしまっていた。
化粧室へ行って軽くメイク直しして、
部屋に戻って千恵達に、帰る。とだけ伝え
中々来ないエレベーターが待ちきれなくて、
5階のカラオケから下の階まで走っておりた。
はぁはぁ……
こんなちょっとの距離で、
息切れなんて年だな。
でも、心はウキウキ♪
歩道に出て辺りを一周ぐるっと回り一応確認。
さっき電話したんだから、
まだ来てるわけないけど何となくね。
カラオケの看板にもたれ掛かり、
ふぅっと息を吐いた瞬間、
肩に手を置かれドキッとして振り返った。
「綾さん……こんな時間に一人でおったら危ない」
目に映るのは、
少し息切れした仁。
「え? 早くない?」
驚く事しか出来ないあたしの心の中が、
どんどん嬉しさでいっぱいになっていく。
もしかして、急いで来てくれたの?
「早かったね」
ハニかみ、ほんのり赤くなった頬からは、
好き! それが今にも漏れてしまいそう。
「……帰るで」
「へ? もう?」
そんな幸せも束の間。
何故か仁は不機嫌で。
まだ笑顔を残すあたしは無表情の仁に気付き、
幸せだった気持ちが小さく消えていく。